防音室とは。遮音と吸音の違いと防音理論編

ものづくり

完成した防音室ですが、自作を思い至ってから行動に移すまでの情報収集や構想を練る段階の事柄について記載していきたいと思います。

目次

防音室DIYシリーズの目次です

1、本気を出して防音室を自作してみた
2、防音室とは。遮音と吸音の違いと防音理論編  ←今ここ
3、防音室を2階に設置する場合の床面耐荷重について
4、防音と窓からの音漏れ、その対策について
5、防音室に望む性能と重量の折り合い、設計について
6、防音室の床パネルと浮き床工法について
7、防音室の壁パネル作成、床との接合について
8、防音室の天井パネル作成、壁との接合について
9、防音室の電源引込、電気工事について
10、防音室の吸気口、排気口の作成について
11、防音室の内天井、内壁張りについて
12、防音室ドアの作成、取付方法について
13、防音室のドアノブ取付、グレモンハンドルの作成について
14、自作防音室の完成と総評

防音とは遮音&吸音である

防音室を作ろうと思って情報収集を始めた頃は、一級建築施工管理技術検定の学科試験を勉強している時期と重なります。環境工学の分野に「音」の項目などもあり、それなりに基礎知識は入っている状態ではありました。
しかし、テキストに具体的な防音方法が書いている訳もなく、大半の情報はネットから収集することになります。
それらを総合した結果、自分なりに防音というものの正体を理解した内容は以下の通りです。

「音」が壁面に当たった際、その一部は反射し、また一部は壁体中に吸収され、残りは透過する。

防音室は、この透過する音を最小限まで減じようとするものなので、より多くの音を反射=遮音できるように壁を厚くしたり、2重にしてみたりします。そしてより多くの音を吸収=吸音できるように壁の中や表面には吸音材を敷き詰めたりします。

遮音材のみの防音室では室内は反射音で満たされ、最終的な透過音も大きくなります。
これはフラッターエコーと言い、反射音が壁面を往復して、音が2重3重に聞こえる現象。クローゼットの中などで大声を出してみると分かるかも知れません。

吸音材のみの防音室では遮音性が無いので透過音はほぼそのまま屋外に逃げます。
毛布を被って歌うという状況に近く、そのまま歌うよりは音は減じられるが効果は限定的。

これらを組み合わせ、外側に遮音材内側に吸音材を配置する。室内を何度も反射する音を吸音材が吸収する。そうしているうちに音が減じられる。これが防音の仕組みです。
クローゼットの中で毛布を被って歌ったら効果的かも知れませんね!

防音とは、遮音&吸音である。
そして防音室には、遮音性、吸音性をバランスよく配置する必要があるという事です。

理論上最強の防音室とは

最強の遮音材と、最強の吸音材を組み合わせれば、最強の防音室が出来上がる気も致します。

遮音材的には、重量が上がれば上がるほど遮音性能は増すと言いますね。この場合の最強を考えると、全面2~3mのコンクリート壁でしょうか。

吸音材では、多孔質で密度は高めの物が良いそうです。高密度グラスウールボード何かが良いんでしょうね。尚且つ表面積は最大になるように配置すると、よく見かけるこんなくさび型の配置になりますね。
そう。それはもはや無響室です。
全く音が響かない空間。ちょっと気になりますね。ただ個人レベルでの実現は不可能なので、これは空想実験といったところ。

実現可能な防音室を考える、壁面構造

ちょっと現実的に考えると、どうでしょう。
自分の部屋の広さと防音室で必要な広さを吟味すると、2~3帖くらいは防音室に割いても構わない気もします。そうなるとパワーラックを置いているスペースは無くなりますが、それも致し方なしといったところ。
壁の構造はどうしようか。合板1枚だけでは隙間が気になるし、遮音シートでも張ったらいいんだろうか。部屋として組むのであれば、構造躯体の柱をどのくらいの太さにしようかなど、想像も膨らみます。
壁を厚くし過ぎると室内の有効寸法も狭まるし、薄過ぎると防音効果も落ちるでしょう。ざっくりですが、壁の厚みは10cmほどで考えましょうか。イメージ的にはこんな感じ。

因みにこの時点では遮音材に石膏ボードを使用するつもりでした。内外装の見た目が合板よりはマシで、仕上げも楽かな?と考えていましたが、運搬・施工中の割れ欠けや、万一、解体する際の再利用性の乏しさなどを考慮し、全て合板で組み上げる事になりました。

吸音材はグラスウールで、24K品を使用するつもりでしたが入手性を考慮し、16K品で妥協しました。ここの品質はそんなに大きく影響しないのではないかと考えています。

実現可能な防音室を考える、床面構造

壁面は何となく決まりました。後は床面、天井面の事も考えておきましょう。
床面は、フローリングの上にそのまま防音室の床を作成した場合、どうしても個体伝播音が気になります。防音室内の「音」が、防音室床の骨組みを通じてそのまま床に伝播してしまうんですね。幸い、私の部屋の真下は浴室や洗面所ですが、なるべく階下騒音も避けた構造を考えてみたいと思います。

この辺を詳しく調べてみると、集合住宅などに使用される工法で、浮床工法というものがある様子です。構造体=既存の床、と防音室の床面の間に防振材を挟み、伝播音を抑制するというものらしいですね。これは採用しましょう。そして、床面は高くし過ぎると有効天井高さも削ってしまうので、なるべく薄く、かつ防音と吸音も実施したい。そんな感じで以下のイメージになりました。

天井構造は壁と同じで良いでしょう。既存の天井と防音壁天井が物理的に接触すると個体伝播を生じるので、ギリギリ付かないくらいが望ましいですね。

何となく全体の構造イメージが膨らんできましたね。
実際にはこんなイメージ図ではなく、CADを使用した簡易図面を作成して想像を膨らませていました。自分が理解できれば良いという感じで作成しているので見づらいですが、こんな感じです。

今後の記事、設計編で詳しく書く予定ですが、求める防音レベルと躯体重量、総費用の折り合いをつけるのには苦労しました。

私の部屋は2階なんですよね。材料を運ぶのも大変だし、重量物を置くとして、どのくらいまで大丈夫なの?その辺は次回の記事に書いていきます。

ではまた。

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