2級建築施工管理技士の難易度

資格

2級建築施工管理技士ですが、私が受験した5年前にはライブ感しか感じられない感想を書き殴っていただけだったので、1級建築施工管理技士の受験に際し、試験制度や難易度をまとめてみます。
※2020年3月に執筆しています。2021年度には大きく当試験の制度が変更となる可能性が大きいです。お気を付けください。制度変更の根拠資料はこちらです。

試験概要(学科試験)

まず、この試験は学科試験と実地試験に分かれます。
学科試験は17歳以上である条件はつきますが、実務経験無しで受験可能となるので、学生の方々の学科試験単独受験も多いと聞きます。
2017年度試験より、学科試験の実施が年に2回実施される緩和措置が始まりました。
また、これに関わらず、学科・実地試験を同時受験することもできます。
同時受験の場合は、申込の時点で後述する実務経験を求められます。
2級試験においては、経験する実務の種類に応じて「受験種別」が3通りに分かれます。
「建築」「躯体」「仕上げ」というものですが、学生が受験する段階で、自分がどの実務を経験していくかの見極めが難しく、学科の受験種別と、実際に経験した実務の種別が違うなどの問題も生じていた様です。
この辺りを踏まえ、2018年度試験からは学科試験において受験種別の無い統一内容試験となりました。根拠資料はこちら。
出題形式は2018年度以降の試験では以下の通りになります。

・建築・躯体・仕上げに関する共通問題〈35 問出題 28 問解答〉
・受検種別を問わず必要となる施工法に関する共通問題〈15 問出題 12 問解答〉

合計40問の4肢択一形式で、合格基準は6割以上の正答なので、24問以上正解すれば合格です。
私が受験した頃の試験では、出題形式の下半分が【受検種別に応じて解答する施工法に関する問題〈30 問出題 12 問解答〉】という形式だったので、自分の受験種別に対応する専門的な問題30問から、自分の解ける問題12問を探す事が出来たのですが、2018年度以降の試験では全試験範囲からの15問から12問を選ぶ形式になり、探せる範囲が半分以下になったようにも見えます。

実務経験について

実地試験受験からは実務経験を求められます。
学歴があったり、職業能力開発促進法による技能士資格があったりすると優遇されるようなイメージです。今回は技能士によるものは説明を割愛します。
学歴に関しては最終学歴によって求められる年数が変わってきます。
簡易化した表を以下に掲載します。

学歴による必要実務経験の短縮を希望する際は、卒業証明書の原本を提出する必要があります。卒業式に貰う卒業証書ではなく、卒業証明書です。改めて学校にお願いして発行してもらう奴です。これがちょっと面倒ですね。
私は受験申し込みの際に既に8年以上の実務を有していたので添付しませんでしたね。
そして求められる実務経験とは、以下の様に説明があります。受験の手引きより一部抜粋。

「実務経験」とは、建築工事(建築基準法に基づく建築物等)の施工に直接的に関わる技術上の全ての職務経験 をいい、具体的には下記に関するものをいいます。
建築工事の現場において
受注者(請負人)として施工を管理(工程管理、品質管理、安全管理等を含む)した経験
設計者等による工事監理の経験
発注者側における現場監督技術者等としての経験
また、認められない実務経験に関する説明もあります。
例えば、土木や電気工事など、他類の施工管理技士が監理すべき工事の経験であったり、事務、営業、設計のみで現場に関わらない作業者、現場における雑務のみの作業者などがそれにあたります。
少なくとも現場に出向き、工事業者と工程の打ち合わせをしたり、仕上がりをチェックして指摘したり、現場に積極的に関わっていくような業務を実務であると見なすのだと考えています。

試験概要(実地試験)

無事に実務経験要件を満たし、実地試験に駒を進めたとします。
実地試験は、学科試験の合格年度、またその翌年度まで受験が可能です。つまり、実地試験に1回落ちても翌年は学科免除で受験可能だったりします。
この辺の受験システムが2021年度からは大きく変わる見込みです。後述する「技士補」の創設によるものです。
また、2018年度試験から、学科試験において受験種別の無い統一内容試験となった影響により、それまで実地試験に関しては受験種別の無い統一内容試験だったのですが、問題の一部に受験種別ごとに内容の違う問題が追加されました。
実地試験は全て記述式試験となり、合格基準は変わらず6割ですが、第1問の経験記述が配点の4割を占めます。しかも、経験記述の内容で実務経験要件の再確認が行われており、ここで見当違いな解答をすると出来不出来に関わらず落とされる可能性があるという話もあるようです。これは公式見解でなく、噂レベルの物ですが、可能性は大いにありましょう。
広い試験範囲の細かい知識を結集して、専門用語の説明を記述させるような問題も出ます。完全を目指すと深みにハマりますので、概ね8割回答を目指して広く浅くやりましょう。

試験難易度

私が受験した際は約1ヶ月の勉強期間しか取れなかったせいもあって、かなり苦しかったのを記憶しています。学科と実地の同時受験であれば3ヶ月くらいは欲しいところ。
実地試験は記述式なので、漢字が苦手な方は事前準備する期間を長めにとっておきましょう。
学科と実地を分けて受験するのであればそれぞれ1ヶ月ちょっとあれば間に合う気もします。
まずは過去問を見て、自分の実力と相談してみて下さい。

学科試験詳細

学科試験は全50問から、40問を回答する形式です。四肢択一式です。
以下の分野に分かれます。

・建築学等(14問のうち9問を回答)
環境工学、構造力学、建築材料などから出題されます。分からない問題を5問飛ばせるので、比較的楽かなと。
・共通(3問全て回答)
電気工事や消防設備など、他類の知識を求められます。3問しかないのでまぁ落としても仕方ない部分。
・建築施工(15問のうち12問を回答)
2018年度以降、難度が上がったというよりは対策範囲が広くなった分野。そもそも実地試験で対策をしなければいけない範囲ではあるので、変わらない気もしなくもない。受験種別問わず全範囲から出題される問題を3問しか飛ばせません。
・施工管理法(10問全て回答)
施工計画、工程管理、品質管理、安全管理からの出題。基本的事柄を抑えましょう。難度は比較的抑えめ。
・法規(8問のうち6問を回答)
建築基準法、労働安全衛生法などからの出題。2問は飛ばせます。

全体を通して、正答6割で合格な上に、解答する問題を選べる。これが大きいので難易度は高くありません。反復学習で攻略可能です。

実地試験詳細

全5問。全て記述式です。配点として、第1問の経験記述が40%。残りが各15%となる模様。
第1問 経験記述
事前準備が8割、対応力が2割といったところ。工程管理、品質管理、施工管理という出題分野が決まったサイクルで出題されている感じです。その年、どの分野が出題されるかは決まっているようなもの。試験で何を書くのかを事前に準備をして、完全に暗記しておくことが何よりも重要。あとは実際の試験で、やや言い回しを変えて聞かれたりすることはあるので、アドリブも必要になります。
よく言われる、「金額が少ない修繕工事などでは落とされる」という噂には懐疑的です。内容さえしっかりとまとまっていれば、規模の大小は問題にならないと考えています。
・第2問 建築学
14の専門用語から5つを選び、「用語の説明と施工上の留意すべき内容を具体的に記述する」問題。これがなかなか苦戦しました。得意分野が来れば問題ないのですが、全種別範囲からの出題となるので、当然にして知らない用語が大量に押し寄せる感じです。深みにハマるといくら勉強しても時間が足りない状態になるので、そこそこに抑えましょう。
・第3問 工程管理
 工程表を読み解く問題や、ネットワーク工程表のクリティカルパスを求めさせる問題だったりと、何を出されるのかが分からない不安もある分野です。過去問をいくつも解いて万全にしておく必要があります。ここは落とせない分野です。
・第4問 関連法規
 法規に関する語句訂正問題です。学科でも法令に関する勉強はするのですが、誤りを記述式で訂正するとなると難易度はグッと上がります。知らないもんは知らないので、細かい知識は諦めも肝心です。
・第5問 受験種別ごとの建築施工
これも語句訂正問題です。2018年度以降、個々の分野が受験種別ごとに分かれるようになりました
。得意分野からの出題に絞られることになり、難易度は下がったようにも感じられます。学科試験の難度は上がり、実地試験の難度が下がったと言えるようです。どちらかというと実地試験の方が高難易度なので、今回の改正は受験者目線で見ると、ありがたいものの気がしています。

総合すると経験記述試験の事前準備に尽きると考えられます。ここで満点近く得点できると合格には確実に近づきます。あとは工程管理など、確実に仕留められる問題を落とさない事でしょうか。

技士補について

いつから始まる制度かというと、2021年度試験から導入されることが決まっているようです。本年度試験には関係のない事柄になりそうです。
内容としては、現在の学科試験・実地試験という受験区分が、「第一次検定」「第二次検定」と呼称が変わります。「第一次検定」の合格者に「技士補」資格を与えるという試験の緩和措置ですね。
また、2級試験合格者が1級試験の「第一次検定」に合格し1級技士補となった場合、「監理技術者補佐」として1級施工管理技士などの「監理技術者」の指揮下で現場の監理を選任できるようになります。根拠資料はこちら。
この業界も人材の高齢化による人手不足で大変らしいです。これらの規制緩和措置で施工管理技術者人口は確実に増えるでしょうね。近年は特に現場監督が女性というケースも増えてきました。
業界全体のブラック的なイメージも払拭されると良いですね。

私も今年は1級建築施工管理技士を受験予定ですが、仮に不合格となっても来年の規制緩和で、1級技士補からの監理技術者補佐くらいまでは目指せそうな気がしてきましたよ。

ではまた。

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