羊の脳みそカレーを食べながらプリオン病について考える

グルメ

羊の脳みそカレーとは

秋田市にはなんと、羊の脳みそカレーを出すパキスタン料理屋さんがあります。
パキスタン・アラビアン・インド料理 デラ(DERA)
お店の詳細は上記、食べログのリンクを張っておきますのでそちらからどうぞ。
他にも美味しいメニューがたくさんありますが、脳みそカレーと言われると他のメニューが見えなくなるくらいの吸引力を感じます。これは食べずにはいられない。
パキスタンは国民の97%がイスラム教信徒ということで、アルコールも飲まなければ豚も食べない。代わりに羊なんかは物凄く食べる様子です。
こちらのデラさんも、秋田では珍しいハラール料理店という事で、ムスリムも安心して食べられる仕様となっております。

入店

私が行ったのは平日の14:00頃でした。平日ランチ営業は15:00までなので、結構ギリギリの時間という事もあり、他のお客さんは比較的少ないほうでした。
食べるものがものだけに、人を選びます。何人か誘いましたがお断りされてしまったので独りで食すことになりました。
注文してしばらくすると、風格のある、恰幅の良い男性が入店されました。物凄く話しかけられるので何だろうなと聞いていると、お店のオーナーさんという事でした。なんという偶然。
オーナーさんはこの時間に食べるんですね。飯島の方で中古車販売業もされているという事です。パキスタンでの食べ方のマナーも教えて頂くなど、気さくな良い方でした。

実食


※メニューは2018年2月当時のものです。内容、金額は変更となっている場合があります。
脳みそカレー食べに行ったの結構前の話なんです。その後も他のメニューは何度も食べています。

さて、これがブレインマサラです。写真でも分かるほどに脳みそがふんだんに入っています。豆腐みたいに見える白っぽい物体が全部脳みそです。
早速食べましょう。
ふんわりとした柔らかな食感。見た目そのまま白子みたいな感触に加え、コクは濃厚ですね。あん肝かと思うくらい濃厚です。これは絶品。
そこそこ値段は張るものの、日本ではなかなか食べられない逸品です。調べた限りでは、東京、大阪、秋田でしか提供するお店が無いとの事。これは貴重ですね。また食べに行きます。

プリオン病

この機会に、「脳みそ食」とは切っても切れない関係のプリオン病についても考えていきましょう。食べながら考えるのも不謹慎とは思いながら、こういった事は考えずにはいられませんよね。
結論から申し上げると、日本では安全。だと私は思います。
日本では一時期大問題となった牛海綿状脳症(BSE)。通称では狂牛病というと分かりやすいかも知れません。この病気に代表される伝達性海綿状脳症、これを総称してプリオン病と呼びます。
牛の他にも、羊はスクレイピー、人間ではクロイツフェルト・ヤコブ病、シカやらミンクにも発症例があるらしいです。
海綿状脳症という事で、脳がスポンジ状になります。発症したことが確認できる頃には不可逆的な神経障害が致命的なレベルまで高まっているという事なので、不治の病と言っても差支えないでしょう。

原因

この病気の原因は現代では比較的明確で、プリオン病を発症した動物の脳みそを食べる事で伝播するらしいという事です。脳に多く含まれるプリオンというタンパク質が原因物質で、異常を起こしたプリオンが、正常なプリオンを連鎖的に異常プリオンに変えてしまう。これが食物連鎖で起こってしまったという事ですね。
また自然環境下でも、遺伝的であったり、分娩時感染ということも起こっている様です。

パプアニューギニアの一部では儀礼的な食人風習があり、それが原因で発症した海綿脳症をクールー病と呼ぶこともあります。実質は同じヤコブ病でしょう。

人間の業

何故そんなことになったのか。牛が牛の脳みそを好き好んで食べるのか。そんな事は通常起こり得ません。それはやはり人間の業によるものですね。
食肉加工が終わった牛の残骸を、肉骨粉といって、屑肉や骨や脳みそごと粉砕して粉にしたものを、栄養価の高いタンパク飼料として牛の餌に混ぜたのですね。人為的共食い。この倫理観に背く行為がこの病を爆発的に広めたのは間違いないでしょう。

リスク

さて、羊の脳みそを食べて、クロイツフェルト・ヤコブ病に罹患するリスクはないのか。これを考えましょう。
旧来、羊のスクレイピーという病気は欧州の方などでも多く知られていました。それでも羊食とヤコブ病の発生を結び付ける因果関係のあるエビデンスは上がってきていません。スクレイピー羊を喫食しても人間がヤコブ病を発症することは無いか、可能性が極端に低いという事なのでしょう。
しかし、BSEは羊に伝染するらしいです。そして羊のBSEとスクレイピーを臨床的に判断するのは不可能という事です。
BSEが人間に伝染するのは、ほぼ間違いないと思います。この伝染を防ぐには、食用羊の全頭スクリーニング検査しかありません。
日本では平成17年から、食用羊の全頭検査が行われている様です。

結論

日本では通常のルートを通って取引された羊の脳みそは安全。これは間違いないと思います。
しかし、なんでもそうですが、裏ルートを通って流通した商品の安全性などは保障されません。
その辺のリスクが多少残るとは思いますが、お店で食べる脳みそカレーは大丈夫!そう言い切れると考えています。
ヤコブ病の潜伏期間は8~10年だそうです。
怪しいところで食べる脳みそは危険ですよ。

ではまた。

 

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