幼少期より、風邪をこじらせると妙な体験をすることが多かったです。音の聞こえ方や物の見え方が変な感じになったりするんですね。
子供の頃は語彙力も低いですし、自分の体験を上手く他人に伝える事も難しかったので、親や友人にそれとなく話しても全く理解してもらえずに疎外感を覚えたのも懐かしいです。
大人になるにつれて症状が出なくなることが一般的らしいですが、私は未だに高熱を出すとたまに症状が現れます。
近年、テレビで特集された影響もあってか一般的に知られることが増えてきたらしいですね。私もこの症状に名前がついていることを知ったのはつい最近です。簡単に紹介しながら、体験記を書いていきますね。
不思議の国のアリス症候群とは
不思議なネーミングですが、「不思議の国のアリス」著者、ルイス・キャロル氏もこの症状に悩まされていた可能性が非常に高く、むしろこの作品はこの症状による体験を元に物語を書き表したものという見方が強いそうです。
症状:眼の機能に異常が起きていないにも関わらず、主観的に物の大きさが普段と違って見える。また、音の聞こえ方も耳の機能によらず、速度や音量など、普段とは聞こえ方が変わる。
具体的な症状は非常にバリエーションに富んでおり、体験する人によって様々。自分が大きくなった様に感じられたり、逆に小さくなった様に見えたり、他人の頭だけが大きく見えたり、正に「不思議の国のアリス」状態。
原因:EBウイルス感染症での中枢神経炎症での発症が多いとの事。EBウイルスは幼少期に感染する例が多く、これによるものが多いらしい。他には脳炎、てんかん、統合失調症などでの発症も報告あり。全体的に脳が不調をきたしている際に発症する様子。
普段から症状が変則的に表れる人の場合は片頭痛持ちが多いらしい。
体験談
私の場合は重めの風邪を引くたびに以下の症状が現れていたので、始めの事は気味悪かった記憶がありますが、徐々にそんなもんかと開き直り症状を楽しんでいた節さえありますね。
視覚的症状
・寝ているはずの寝室が途方もない大きさになったように感じられ、天井と壁の境目にある廻り縁なんかは地平線でも見ているような気分になる。
・腕を天井に突き出すと、とても自分の腕とは思えないほどに長く遠くに感じられる。
・人の顔を見ると何故か一旦症状が治まったりする。
聴覚的症状
・全ての音が大きく感じられ、何でもない音がヤバい音に聞こえて不安になる。
・例えば洗濯機の音なども10倍近くに感じられ、工場の謎のヤバい機械でも回転しているかのような音に聞こえる。
・会話をしていても10倍近い音量なので、何気ない会話でも怒られている、酷く責められている様に感じられる。
・大音量の音楽をイヤホンなどで聞くと、逆に普通に聞こえて安心する。
こんな感じでしたね。症状は1時間ほどから、長く続いても半日で消えるため、外出時に症状を体験したことはありませんでした。この症状が現れるくらい具合が悪い時は自宅で寝るに限ります。
睡眠時の影響と悪夢への関係性
この辺からは推測になりますが、風邪を引いた際に決まって見る悪夢があったりするんですよね。
これも「不思議の国のアリス症候群」が関わっているのではないかと考えています。脳の何らかのダメージが影響しているとすれば睡眠時だろうと覚醒時だろうと等しく症状は現れる気がします。
私がよく見る悪夢を挙げていきます。
・何か途轍もなく大きな丸い岩が迫ってきて押しつぶされそうになる夢。
これなんかは典型例ですね。夢の中で見た通常サイズの岩が勝手に大きく感じられ、潰されそうなイメージでうなされているだけな気がしますね。起きていて冷静に考えると何てことは無いんですが、実際に夢の中だと嫌なやつなんです。
・何を言っているのかは聞き取れないが、ずっと怒られている夢。
これも音量の問題で、10倍に聞こえるから怒られている様に感じられるだけで、実のところ日常会話かもしれませんからね。精神的にくるやつ。
・超スピードのジャミラに追われる夢。
何故ジャミラなのかは不明ですが、ウルトラマン怪獣の首が無いやつですね。あれのサイズ感が人間的になった感じのやつ。それが目にも止まらぬ速さで迫ってくるので、咆哮をあげて飛び起きる事が多いですね。起きちゃうのでその後の展開は不明です。
これも時間的感覚の変化なんでしょうね。ジョジョ的に言うとメイド・イン・ヘブン状態。
・取り返しのつかない何かを犯してしまい、責任に苛まれる夢。
起きた後は何をしてヤバい事態になったのか全く覚えていないんですが、例えば10秒ごとに見た事も無いような桁数の借金が増え続けていくみたいな、絶対に覆らない何かに打ちひしがれる夢なんですよね。前に例を挙げた中では1番苦痛な感じのタイプです。賽の河原で永遠に石を積み続けるみたいな感じのイメージに近いでしょうか。夢の体感時間も地獄の様に永く感じられるのが特徴です。
これも体感時間や責任の感じ方が狂っているので辛く感じるんでしょうね。
起きた時の「夢で良かった感」が凄まじいです。
・夢の中で鏡を見た瞬間、何かを悟ってしまい恐怖のあまり実際に過呼吸発作が起きたやつ。
これが過去に一度だけあって最大級にヤバかったやつです。夢の中で自分は何を悟ってしまったのかが微塵も思い出せないのが特に危険な感じ。「くねくね」とか、クトゥルフ神話のような超常的脅威を感じますね。知ってはならない何かを垣間見てしまったのでしょうか。SAN値直葬といったところ。
人生において初めて過呼吸発作を起こしましたがあんなに辛いとはね。死ぬかと思った。
夢の続きを見たら本当に死にそうな気がして、しばらく眠るのが恐ろしくなった記憶があります。
以上。
最後のやつだけ説明がつかない気もしますが、その他は不思議の国のアリス症候群の影響だと言い張れますね。大体風邪を引いた時に見る悪夢ってこんな感じじゃないですか。
夢の中で、夢である事を気付いて操作する明晰夢スキルは多少ながら持ち合わせているので、今後は症状を自覚し楽しむ気持ちで臨んでみましょうかね。
ではまた。
コメント
僕が見ていた夢は、ぬっぺふほふさんほどバラエティはありませんが、主にコンクリートのようなものに潰される感じの夢や、巨大な歯車が高速回転する夢、また絶対に不可能なことをしなければならない(そうしないと家族が死ぬなど)という理由で絶望しまくってる夢でした。共通するのは”普通の悪夢”とは比にならないほどの恐怖感・焦燥感を伴うことです。
夢を見ている間は起こっている事象を理解しているのですが、起床後は思い出せなくなり、代わりのイメージを与えてしまうので、上の表現もどこか「これじゃない」感があります。おそらくは掲示板等でこの夢を表現しようとする多くの人はそんな気持ちで、代替映像になってしまっていると思います。他にいくら表現を見つけようとしても適当なものが思い浮かびません。
また、この夢をみると、私の場合は何故か「外へ出よう」とするようでした。10歳未満の頃はよくこの夢を見て、何度も外へ出ようとしたようです。直近に見たのは20歳半ばほどのことですが、このときも起床後「あの夢だ」と冷静に考えながらも、それと同時にまだ夢の中にいるような焦燥感があり、無意識に外へ出てしまったのを覚えています。
20半ばの夢を最後に、この悪夢を見ることが無くなりました。
ですが、今でも極端に疲れているとき(たとえば長い運動した日など)に、夜に部屋が「ぶわぶわ」とすることがあり、それは無視すれば緩和するのですが、あえてその感触の方に気持ちを近づけてゆくと、ぶわぶわが強まり、巨大なゴムが伸び縮みするようなイメージが現れ、同時にものすごい狂人の意識というか、声は聞こえないものの大音声で責め立てられるような怖い感覚になります。この感覚はコンクリートの夢にそっくりなのです。これは間違いなくアリス症状の一片であり、疲れたときや風邪のときなど、体がちょっと大変なときに起こってしまうものと思います。
>アガリクス さん
貴重な体験談をお寄せいただきありがとうございます。
どれもこれも非常に共感できます。特に起床後に思い出そうとしても全てを表現しきれない「これじゃない感」すごく分かります。これを頑張って忠実に思い出して再構築して物語として書き上げたのが不思議の国のアリスなのでしょうか。
「外へ出ようとする」という現象も興味深い体験ですね。一時、社会問題となったインフルエンザ脳症が原因と思われる熱性せん妄やら、それに伴う高所からの転落死事故などにも通ずるものを感じます。アガリクスさんが無事で何よりです。
「ぶわぶわ感」や責め立てられるような感覚というのも、症状が現れている時でなければ全てを味わえない絶妙な感覚ですよね。恐ろしくもあり、どこか惹かれるところも感じています。