焼印の為のロゴマーク
前回ロゴマークを作ったので、それを基に焼印の作成を進めます。というより焼印の為にロゴマークを無理やり作ったのです。
材料を準備、真鍮
今回、購入した材料は以下の通りです。
作品の端っこに小さい焼印を押したいイメージなので、20mm角サイズにしました。因みにAmazonでは最小購入単位が設定されていて、3個購入しています。
こういったトナー転写式のエッチング技法では通常、富士フィルム様の通称「ぶどう」用紙を使用されているようですが、残念ながら現在は廃盤となっている様子。残っていた在庫が一部プレミア価格で高騰していたりもするようですが、わざわざ無駄に高い金を払ってまで入手するのは信義に反するので、現行品でチャレンジしたいと思います。
転写用紙「ケーキ」
因みに通称「ぶどう」の用紙は左のパッケージ。(B5サイズの写真しか見当たらなくてスミマセン)
右は今回購入したスーパーファイン用紙。今後は通称「ケーキ」を主流にしてやりましょう。
エッチング液
あとは腐食液ですね。近くに画材屋さんなどがあれば売っているそうです。
クエン酸などでも代用できるらしいですが、やや不安が残るのでこれを買いました。
作成開始
さぁ始めましょう。
まずは真鍮ブロックを開封するのですが、思ったよりも表面の傷や凹みが大きいので多少磨いていきます。
ここではオイルストーンや自作した革砥が役に立ちました。
鏡面にするほど拘らず、ちょっと光るくらいで切り上げます。
そこに作成したロゴマークを、通称「ケーキ」のファイングレード用紙にちょうどいいサイズでトナー印刷をし、なるべくジャストサイズでカットします。
乗せてみます。
これを転写させるので、裏向きにセットし、可能な限り濡らします。おや?印刷したロゴマークが透けてこない。
まぁ気にせず進めましょう。
あとはアイロンを使用し、熱転写を試みます。
トナーの種類、というかプリンターやメーカーに依るのでしょうが、それらに依っては低温転写なのか高温転写なのかが違ってくるらしいです。具体的な温度までは不明ですが、アイロンの温度設定を微調整しながら最適温度を探る必要もあります。
写真はありませんが、ひたひたに濡れた紙の上に熱したアイロンを置くようにして当てます。
ジューッ!という音も出ますが、そのまま60秒ほど放置。その後は全体的に熱が通るようにアイロンがけを行いました。
紙が貼り付いた状態の熱された真鍮を大量の水に投入。ここでもジュー、と音が鳴ります。
しばらく水を浸透させてから紙を剥がします。
転写失敗
うむ。失敗。
ただ、部分的ながら熱転写自体は出来ている様子。アイロンの温度設定は問題ないらしい。
因みに私の行った環境は以下の通り。
プリンター:Brother HL-L2365DW
アイロン:ティファール社製のコードレス式、温度設定は「高」
何かの参考になりましたら。
トライ&エラー
その後は試行錯誤の連続となります。夥しい量の失敗を重ね、少しづつコツが見えてきた気がします。
失敗したら革砥で磨くとトナーは簡単に落ちます。それを繰り返していたら鏡面仕上げに近づいてきました。
転写成功
16回目・・最後の「FH」転写が甘かったのですが、黒マジックで修正しほぼ完全なマスキング状態を得ます。
因みに、トナーの写りが不完全でも、印刷面表面の糊のようなものが真鍮面に写る場合があり、そこに黒マジックを多めに乗せて、軽く濡らしながら擦ると糊の残った部分のみに色が残り、余計な部分の黒マジックが落ちていきます。14回目あたりでそれに気づき、16回目で実践し成功といったところ。
途中でアセトン転写なども試みましたが、私の行った環境では全く転写されず、一回で諦めています。
鏡面仕上げの図。
エッチング準備開始
さてこれをエッチングする為に、マスキングを兼ねて吊るすための輪っかを作ります。ここでは塗装用のマスキングテープを使用しています。
丁度いいサイズのポリプロピレンビーカーに割り箸を渡して固定する予定です。
約50mlのエッチング液を使用して腐食させます。
エッチング液は40度前後で最大のパフォーマンスを発揮するらしいです。ペット用のホットカーペットを分解して得たヒーター部分を持っていたのでそれを使用して温めます。ペット用なので、電源を入れてしばらくしても最大で50℃ほどまでしか上がらない仕様のものです。
腐食液を50ml入れ、しばらくカーペット上で温めます。保温の為、適当なものでフタでもしておきましょう。
温度はどこのご家庭にも1台はあるであろう赤外線式温度計を使用します。
腐食液内に温度計は入れられないので、こういった便利グッズが無い場合は何とかして外側に温度計を張り付けるなりして計りましょう。液温は45℃を超えると良くないそうです。
液に投入
40℃になったのでいざ投入。
時折、揺らしたし液温を確認したり、温まり過ぎたらカーペットから降ろしたり、腐食具合を確認したりしながら約1時間。
およそ0.2mmほど腐食した辺りでトナーが剥がれてきたので終了。
予め用意しておいた、重曹飽和溶液の中に真鍮ブロックをダイブさせます。
ジュワーッ!と茶色い泡を吹きだしながら中和が完了します。
大量の水で濯ぎながらマスキングテープを剥ぎ、トナーを擦り落とします。
写真では分かり辛いですが、一番右側のロゴマーク直線部分が消滅しかかっています。
トナーが剥がれた時点でヤバいとは思っていたのですが、これはいよいよヤバい。
エッチング失敗
試しにガスバーナーで熱して焼印を押してみましたが、やはり端の線が掠れてしまいました。
・・・失敗!
無念ですがこれを成功とは言えません。
描いた線が細すぎると、表面はトナーでマスキングされているものの、腐食で抉られた側面から回り込むように地中から腐食が進み、大地が崩壊するかのような失敗に繋がるみたいですね。
転写からリトライ
これはもう一度、線を太くしてリトライですね。
線の太さを少しづつ変えて印刷したものを見比べ、最適なものを採用。0.4~0.5mmほどの太さに決めました。
フォントも一回り太くします。
あとは先ほどの工程を繰り返すのみですが、コツを掴んだトナー転写は2回目で成功しています。
通常、スーパーファイン用紙は水を吸いにくい材質らしいです。
しかし、十分に湿らせた後に上から指で強く圧迫すると写真上半分の様に透けて見えます。
全面をこの状態にすることで転写率が上がりますね。
しかし湿らせすぎ、圧迫し過ぎをすると、アイロンを置く前にトナーが剥がれて駄目になる事もあるので加減してください。
アイロンを置く際は、紙が濡れすぎていると置いた拍子に紙の位置ずれを起こす原因になり、加熱不良の原因にもなる様なので、可能な限りティッシュ等で水を除きます。真鍮の側面や底面の水も加熱不良の一因になるので拭いておきましょう。
こんな感じです。
アイロンを置いて30~60秒して、透き通っていた紙が白く見えたら、転写は完了していると思います。
その後に何分アイロンを押し付けても結果は変わらないのでは。という気がします。
推測ばかりですが、こういったものは経験則が大事ですからね。
トナー転写は「ケーキ」の用紙でも問題なし!
腐食に関しては特に言う事も無く、1時間ほど浸して完了。
左が失敗作、今回のものは右側。
特に問題なく完成しました。
削り出して完成
取りあえず、グラインダーとミニルーターで要らない部分を粗削りしてみます。
温度を調整しながら焼印してみました。
腐食の深さが約0.2mmと浅い為、焼印の熱が余計な部分にも伝わってしまうようなので、もう少しルーターで深堀する必要がありそうですが、一旦、完成とします。
後に軸を付けて、半田ごてと組み合わせて使用するという構想はありますので、それも完成したらご報告します。
最後に、廃液は大量の重曹を反応しなくなるまで投入し、各自治体の基準に沿って廃棄しましょう。
ではまた。
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